みなさんこんにちは!元飼育員のふくちゃんです!
突然ですが、みなさんは「チンチラ」という動物を知っていますか?
SNSなどで「かわいい!」と話題になることもある、ウサギみたいなネズミみたいな、フワフワモコモコした可愛らしい小動物です。
(分類上は「ネズミ目(げっ歯目)」というネズミやリスなどの仲間です!)
その愛嬌たっぷりな姿やしぐさもあって、ペットとしての人気も高まっているのですが、実はチンチラはかなりデリケートな動物。
そこで今回は、「チンチラはペットで飼えるのか?」というテーマで、チンチラがどんな動物なのかを解説していきます!
「いつか飼ってみたい!」と思っているかたは、ぜひ参考にしてみてくださいね!
チンチラってどんな動物?①「寒いところに暮らしている!」
まずは、もともとチンチラがどんなところに暮らしているか!
野生のチンチラは、南アメリカのアンデス山脈に生息しています。
しかも、その山頂付近(標高およそ7000m!)にも生息しているという、「大きな山の上のほう」で暮らしている動物です。
南アメリカには暖かいイメージがあるかもしれませんが、アンデス山脈の山頂付近は、気温がマイナス15℃やマイナス20℃になることもあるのだとか…!
つまり野生のチンチラは、一面を雪や氷に覆われた、とても寒い環境で生活している、ということ。厳しい寒さの中でも生きていけるように、とても細かい毛がびっしりと密集した毛皮をもっているなど、寒い環境に適応したからだのつくりをしているんです。
ペットとして飼われているチンチラは、この「野生のチンチラ」を人が飼いやすいように品種改良したものですが、それでも「寒いところで暮らす能力」を失ったわけではありません。
なので、チンチラは
「気温が25℃を越えると熱中症になってしまう」
という特徴があります。
チンチラをお家でペットとして飼う場合には、夏前から真夏・秋のはじめごろまで、常にエアコンで室温を25℃以下(それでも暑いので、できれば20℃以下)にしておかないといけません。
(真夏の室温25℃は、外から帰ってくると「寒すぎ!」となるくらいの温度です…!)
チンチラってどんな動物?②「乾燥したところに暮らしている!」
野生のチンチラが暮らしているところは、寒いだけでなくカラカラに乾燥しています。
なので、日本の梅雨や夏のように、ジメジメした環境は大の苦手…。
空気を乾燥させるためにも、エアコンによる空調管理が必要ですね。
また、野生のチンチラは、そのフワフワモコモコした美しい毛並みを保つために、サラサラした火山灰で「砂浴び」をするという習性があります。
チンチラをペットとして飼う場合も、一日に一回、15分~30分間は砂浴びをさせてあげないといけません。
砂浴びをしないと、皮膚から出る「ラノリン」という分泌物が過剰に溜まってしまって、毛玉が出来たり、場合によっては皮膚炎になったりしてしまうことも…。
手間はかかりますが、チンチラを飼う上では欠かすことのできないケアといえます。
(砂浴び用の砂は、専用のものが小動物用の用品が揃っているペットショップに売っています。サラサラで乾燥した砂じゃないとダメなので、専用のものを使いましょう!)
チンチラってどんな動物?③「胃腸がデリケート!」
チンチラは、ウサギやモルモットなどと同じ「草食動物」ですが、お腹のなかはとってもデリケートです。
まず、チンチラは水分が多い食べ物が苦手です。
これは、野生のチンチラが暮らしている環境に、みずみずしい植物がほとんどないため。
「乾燥した植物を食べて、朝露などを舐めて水分をとる」
という暮らしに胃腸のつくりが適応しているので、水分が多い野菜や果物などをあげると、下痢をしやすいんです。
また、チンチラは内臓に「胆のう」を持たないので、脂肪分の多い食べ物を消化することができません。
なので、水分が少なくて脂肪分が少なく、繊維の多い「干し草」を主食にして、野菜や果物を与える時は、なるべく干した「乾燥野菜」にしてからあげたほうがいいでしょう。
(品ぞろえがいいペットショップには、「チンチラ専用フード」や、ペット用の「乾燥野菜」「乾燥フルーツ」も売られているので、それらを使うのもオススメです!)
…さて、ここまでに紹介した「チンチラってどんな動物?」をまとめると、
●寒いところに暮らしている
⇒夏場はエアコンが欠かせない!
●乾燥したところに暮らしている
⇒毎日の砂浴びが大事!
●胃腸がデリケート
⇒食べものにも気をつかう!
と、「かんたんには飼えないかも…」といえる特徴が見えてきましたね。
ここで、「チンチラはペットで飼えるのか」というテーマについての、僕なりの答えを書いておくと…
「飼えるけど、日本で飼うのはかなり大変!365日チンチラに合わせた生活ができないと難しいよ!」
という感じです!
もちろん、チンチラを飼うこと自体がいけないわけではないので、「いつか飼いたい!」と思っているかたは、お家にお迎えする前に、チンチラのことをしっかりと調べてみてくださいね!
それでは!
この記事を書いた人…元飼育員講師ふくちゃん
福岡ECOの卒業生。動物園とサファリパークで13年間、飼育員をしていました。好きな動物はフクロテナガザル。担当していた動物は、ゾウ、チンパンジー、キリン、トラなど。現在は福岡ECOで「陸上動物」「動物園・水族館研究」「アニマルヒストリー」の授業を担当しています。