みなさんこんにちは!元飼育員の講師ふくちゃんです!
前回に引きつづき、福岡ECOの授業内容をご紹介する「密着!飼育員の卵たち」シリーズの第七弾をお送りします!
(もともとは前回と今回の前編・後編でまとめるつもりだったのですが、長くなってしまいそうなので前編・中編・後編の三本立てにさせてください…!)
さて、ここで簡単におさらいをしておくと、前回の内容は…
- 今回は「動物の命を考える」をテーマにした授業
- 学生には「動物の安楽死に賛成か反対か」を考えてもらう
- 目的は「動物の命の価値を一度真剣に考えてみる」ことと「自分とはちがう考えを持つ人が存在することを知る」こと
- 賛成派反対派どちらの意見も、それぞれの理由があって納得できる
…というものでした。この授業中、僕は学生に
「答えのない問いでも『自分なりの答え(考え)』を見つけられたらいいね」
という話をします。
ただ、それだけで終わってしまうのももったいないので、僕はこの後に「日本と欧米の動物観のちがい」というテーマの授業をすることにしています。
…そもそも「動物観」とは、「動物を『こういうもの』と考える捉え方」のこと。
ただ、ここでいう「捉え方」とは、「犬派・猫派」や「馬が一番好き~!」というようなことではなく、
「動物の命は人間と同じくらい大事にすべきだ!」や
「動物は人間に利用されるために存在しているのだ!」
など、「動物の存在自体をどんなものとして考えているか」というものです。
この「動物観」、実は「日本に多い考え方」と「欧米に多い考え方」をくらべてみると、大きな違いがあることが知られています…!
特にちがいが分かりやすいのが、「動物を大切にする」という言葉の意味。
ものすごくざっくり言うと、
日本の「動物を大切に」は「可愛がってあげよう!何よりも『命』を大事にしよう!」
欧米の「動物を大切に」は「(限界はあるけど)自由を与えよう!何よりも『幸せ』を大事にしよう!」
といった感じ。
どちらも「動物を大切にしよう」という気持ちは同じなのですが、その先のニュアンスが微妙にちがっているのです。
(大切なことなのでしっかり書いておきますが、これはあくまでも「そこに住む人たちに多い考え方」を取り上げているだけで、同じ国や地域に住むすべての人が同じ動物観を持っているわけではありません。)
前編で少し触れた「日本の獣医さんよりイギリスの獣医さんのほうが動物の安楽死に肯定的(賛成が多い)」という話には、この動物観のちがいがよく現れています。
ペットが不治の病にかかったり、回復できない大ケガを負ったりして苦しんでいる…。
この時、日本では「最期までなるべく苦しまずに過ごせるようにしてあげよう」と考えることが多いのに対して、イギリスをはじめとする欧米では「早く苦しみ(不幸せ)から自由に(解放)してあげよう(=安楽死させてあげよう)」という考えるケースが多いそうです。
「日本では『最期まで可愛がること』が重視されるけど、欧米では『動物が苦しまずに幸せであること』が重視される…とも言えますね。
…さて、今日のブログはここまで!
次回の後編では、「じゃあ、なんで日本と欧米では動物観がちがうの?」という部分を解説していきますよ~!
それでは!
この記事を書いた人…元飼育員講師ふくちゃん
福岡ECOの卒業生。動物園とサファリパークで13年間、飼育員をしていました。好きな動物はフクロテナガザル。担当していた動物は、ゾウ、チンパンジー、キリン、トラなど。現在は福岡ECOで動物や動物園についての授業のほか、文章表現についてのゼミを担当しています。