ECO日記

動物園の人気者はお家で飼える?【カワウソ編~前編~】

みなさんこんにちは!元飼育員のふくちゃんです!

今回のブログは「動物園の人気者はお家で飼える?」シリーズの第五弾です!

 

数年前からSNSや動画投稿サイトで大人気の「カワウソ」について、

1.どんな動物?

2.ペットで飼ってもいい?法律上の問題はない?

3.飼うならどんなことに気を付けた方がいい?

という3つのポイントから書いていきます!

 

「あんなに可愛いカワウソがお家にいたら、毎日幸せだろうなぁ~…」

「いつかペットで飼ってみたいな~!」

 

と思ったことがある方は、ぜひぜひ最後まで読んでみてくださいね!

 

1.カワウソってどんな動物?

 

まずはカワウソがどんな動物なのかを見ていきましょう!

 

そもそも「カワウソ」という動物にはいくつかの種類があります!

 

代表的なのは日本の動物園でもよく見かける「コツメカワウソ」という種類で、名前の通りに爪が小さい(小爪)ことと、カワウソの中でからだが一番小さいのが特徴。

なんとも愛嬌のある可愛らしい姿を見せてくれますよね!

 

このコツメカワウソ、もともとは南アジア~東南アジアの水辺に広く生息していて、池や川を泳いで魚やエビ・カニなどを捕まえて食べています。

 

動物のグループ分け(分類)でいうとイタチの仲間で、有名な動物で言えばラッコにわりと近い動物です。

(よく見ると顔つきが似ていますね…!)

コツメカワウソは家族を中心とした群れで暮らしていて、12種類以上の鳴き声を使い分けてコミュニケーションをとっていると言われています。

「人間によく馴れてしつけがしやすい」と言われることがある理由は、この習性が要因ですね!

(1頭で暮すのが普通で周囲とコミュニケーションを取らない動物は、人間に馴れにくくてしつけも難しいことがほとんとです…!)

 

 

 2.カワウソは飼っていい動物?法律上は?

 

実はカワウソ、飼ってはいけない…という法律こそありませんが、ペットとして飼うにはとってもハードルが高い動物です…!

 

コツメカワウソをはじめとしたカワウソの仲間(「カワウソ亜科」という分類)は、「ワシントン条約」という法律の対象になっています。

 

このワシントン条約、正式には「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」といって、簡単に言えば

 

「絶滅しそうな動物とか植物を、他の国にむやみに売ったりあげたりしちゃダメだよ!」

 

という国際的なルールのこと。

 

対象となる動植物は、それぞれ絶滅しそうなピンチ度によって3つのカテゴリーに分かれるのですが、カワウソの仲間は最も絶滅しそうな「付属書Ⅰ」というグループに指定されています。

 

というのも、カワウソはその可愛らしさもあってペットとしての人気が高く、主に東南アジアから世界中に向けて販売されていました。

しかし、その多くは野生のカワウソを捕まえたものだったので、カワウソの生息数がどんどん減り、ついには絶滅しそうなほどになってしまいました。

 

「このままではカワウソが絶滅してしまう!」ということで、「カワウソを他の国に売ったりあげたりしないようにしよう!」というルールができた(正確にはカワウソをそのルールの対象にした)…というわけですね。

 

実際、日本にもインドネシアで捕まえられたカワウソがやってきていましたが、カワウソが「付属書Ⅰ」に指定された2019年以降は、ほとんどゼロになっています。

(「ほとんど」というのは、細かな基準を満たせば合法的な輸入が可能だからです。)

 

とは言え、「規制前に日本で飼われていたカワウソ」「そのカワウソの子ども」「東南アジアの飼育施設で生まれた子どもで、きちんと輸出許可を得たカワウソ」であれば、日本国内でペットとして飼育するのは可能です。

 

そもそも「カワウソを飼育したら違法!」という法律があるわけではないので、手に入りさえすれば、ペットとして飼っても問題ありません。

(もちろん、違法に持ち込まれたカワウソや許可を偽造したカワウソを飼育してはいけませんよ…!)

 

 

…と、ここまで

 

「カワウソってどんな動物?」

「ペットで飼っても法律上の問題はない?」

 

という部分をご紹介してきましたが、長くなってきたので今日はここまでにしておきます!

 

残る1つの「どんなことに気を付けて飼えばいい?」については、次回ご紹介していきますね!

 

それでは、今日はこのあたりで!

 

 

この記事を書いた人…元飼育員講師ふくちゃん

福岡ECOの卒業生。動物園とサファリパークで13年間、飼育員をしていました。好きな動物はフクロテナガザル。担当していた動物は、ゾウ、チンパンジー、キリン、トラなど。現在は福岡ECOで「陸上動物」「動物園・水族館研究」「アニマルヒストリー」の授業を担当しています。