ECO日記

飼育員ってどんなお仕事?③ 【「研究」もお仕事…?】

みなさんこんにちは!元飼育員のふくちゃんです!

 

「飼育員ってどんなお仕事?」シリーズの第三弾は、知られざる飼育員のお仕事を紹介します!

 

今回の取り上げるのは「動物の研究」です!

 

「飼育員が研究…?あんまりイメージが湧かないんだけど…」

 

という人がほとんどだと思いますが、それもそのはず。

「動物の研究」は飼育員にとって大切なお仕事なのですが、それを一般のお客さんに向けて紹介する機会は少ないので、知らない人が多いのは仕方がないんですよね…。

 

これもあまり知られていないことですが、実は動物園には、次の4つの役割があるとされています。

 

1つ目は「『レクリエーション』の場であること」。お客さんが遊んだり癒されたりと、動物園には楽しんで過ごせる場所としての役割があります!

 

2つ目は「『環境教育』をできる場であること」。動物や自然環境などについて、いろいろなことが学べる場所としての役割…ということですね!

 

3つ目は「『種の保存』を進める場であること」。「種(しゅ)」は「動物の種類」という意味で、動物が絶滅しないような取り組みをする場所としての役割もあります。

 

そして4つ目が「動物の『調査・研究』をする場であること」。そもそも動物園やそこで働く飼育員には、動物についての研究をする役割がある…ということですね!

 

ちなみに、この4つは「動物園の社会的役割」と言われるもので、「日本動物園水族館協会(日本国内の動物園と水族館の多くが加盟している集まり)」のホームページでも、目立つところで紹介されています。

動物園と水族館自体が「動物の研究は飼育員の大切な仕事のひとつだよ!」と考えているのが分かりますね!

 

さて、これで「研究も飼育員の仕事のうちだ」ということが分かりましたね。

それでは、飼育員たちはどんなことを研究しているのでしょうか…?

 

…研究の対象になるのは、やっぱりお世話している動物がほとんど。そして「担当している動物を観察していたら、こんなことが分かりましたよ~」という「観察研究」が大半を占めています。

 

例えば、

 

「いつも退屈そうなキリンの運動場に樹を植えたら、退屈そうな時間が減って運動量が増えましたよ~」

 

とか、

 

「オウムのペアがなかなか繁殖しなかったんだけど、新型の巣箱を入れたら卵を産んでヒナが産まれたよ~」

 

みたいな感じです!

(実際にはもっときちんとしたテーマで、しっかりとデータを集めたものですからね!笑)

 

このような研究結果は、日本全国の動物園から飼育員や獣医師が集まる研究会(最大で100人くらい参加…)や勉強会などで発表されて、情報が共有されています。

 

「〇〇動物園が上手くいった方法を試したら、うちの動物園でもオウムの繁殖に成功した!」というような例もたくさんあるんですよ~!

 

(ちなみに僕も、「テナガザルの母親がうまく子育てできなかったんだけど、こんな風にしたら子育てができるようになったよ」というテーマや「ゾウの爪が化膿してたんだけど、こんな治療をしたら良くなったよ」というテーマで研究発表をしたことがあります…!)

…動物の暮らしぶりなどについては、まだまだ分からないことがたくさんあります。ちょっと意外かもしれませんが、毎日お世話をしている飼育員でも、知らないことはたくさんあるんですね。

 

なので、動物園で動物の研究をして情報を共有することには、動物の暮らしをより良くしたり、絶滅しそうな動物の繁殖を上手く進めたりする上で、とても大きな意味があるんです…!!

 

…というわけで、飼育員にとって「研究」が大切なお仕事のひとつ…という理由をご紹介しました!

 

それでは、今回はこのあたりで!

次回の「飼育員ってどんなお仕事?」シリーズもお楽しみに!

 

 

この記事を書いた人…元飼育員講師ふくちゃん

福岡ECOの卒業生。動物園とサファリパークで13年間、飼育員をしていました。好きな動物はフクロテナガザル。担当していた動物は、ゾウ、チンパンジー、キリン、トラなど。現在は福岡ECOで「陸上動物」「動物園・水族館研究」「アニマルヒストリー」「動物園飼育論」「文章表現演習ゼミ」の授業を担当しています。