みなさんこんにちは!元飼育員のふくちゃんです!
今回のブログから、新しいシリーズが始まります。
その名も「飼育員ってどんなお仕事?」シリーズ!!
「飼育員になりたいけど、実際にはどんなお仕事をするんだろう…」
「もしも自分が動物園で働いたら、どんなことをするのかな…」
そんな疑問を少しでも減らせるように、実際に飼育員がやっているお仕事を紹介していきます。
「そんなこともするんだ!」という意外な部分もあると思うので、ぜひ読んでみてくださいね!
さて、第一回の今日ご紹介するのは「動物の運動場に樹を植える」お仕事です。
飼育員のお仕事といえば、動物にエサをあげたり、動物のお部屋を掃除したりするイメージがありますよね。
でも実は、「動物の運動場に樹を植える」というのも、飼育員の大切なお仕事のひとつなんです!
ここでキーワードになるのは、「動物福祉」という言葉。
これは「飼っている動物には、心も体もなるべく幸せに暮らしてもらおう!」という考え方のことで、「動物福祉に配慮して飼育しよう!」というふうに使います。「動物のしあわせ」と言い換えてもいいかもしれませんね!
そもそも、動物園で暮らしている動物は、野生動物よりも退屈な時間が長くなってしまいがちです。食べ物や水を探して何時間も歩き回ることがないので、どうしても「何もしない時間」が増えてしまうんですよね…。
この「何もしない時間」が長すぎると、動物たちは運動場の同じ場所をグルグルと歩き回ったり、金網の同じ場所をずっと噛み続けたりと、言わば「異常な行動」を始めることがあります。
異常な行動をしている動物は、「しあわせ」には見えませんよね。
(…小さなころからの癖がなおらず、飼育員がどんなに工夫をしても「グルグル回る」などの行動をしてしまう動物もいます。必ずしも「動物が異常行動をしている=担当飼育員ががんばっていない」というわけではないことも、知っておいてもらえると嬉しいです…!)
そこで、飼育員たちは「動物が退屈しないようにするための取り組み」をいろいろとやっています。その中のひとつが「運動場に樹を植える」こと!
例えば、キリンはもともと樹木の葉っぱを食べている動物なのですが、動物園でいつも食べているのは、飼育員が切って来たり、専門の業者さんから買ったりした葉っぱです。
実は、樹木の葉っぱは、切る前と切った後で味が変わることがあるらしく、キリンは切って来た葉っぱよりも地面に植えた樹の葉っぱを好むことが多いです。
(樹の種類にもよりますが、枝を切ると葉っぱに「タンニン」という成分が増え、渋みや苦みが強くなるんです…!)
なので、運動場に樹を植えてあげると、じっと観察したり匂いを嗅いだりした後で、とてもおいしそうに葉っぱを食べてくれます。
さらに、切って来た葉っぱをあげるよりも、長い時間をかけて楽しんでくれるんですよ!
他にも、サル類の運動場に樹を植えてあげると、柔らかい新芽を食べたり、木の皮をかじったり、枝を折って遊んだりと、いろいろな使い方で樹を満喫してくれます!
…このように、運動場に樹を植えることで、動物が「何もしない時間」は短くなり、結果的に退屈で異常な行動をすることも減ります。
もちろん、樹を植えるだけですべての問題が解決するわけではありませんが、飼育員はいつも「動物のしあわせ」を考えながら、毎日いろいろな工夫をしています。
動物園に行った時は、そんな「飼育員の工夫」にも注目してみてくださいね!
それでは、今回はこのあたりで!
次回の「飼育員ってどんなお仕事?」シリーズもお楽しみに…!
それでは、今日はこのあたりで!
この記事を書いた人…元飼育員講師ふくちゃん
福岡ECOの卒業生。動物園とサファリパークで13年間、飼育員をしていました。好きな動物はフクロテナガザル。担当していた動物は、ゾウ、チンパンジー、キリン、トラなど。現在は福岡ECOで「陸上動物」「動物園・水族館研究」「アニマルヒストリー」の授業を担当しています。