みなさんこんにちは!元飼育員のふくちゃんです!
…突然ですが、みなさんにはこの会話の意味が分かりますか?
A「誰でもハズバンできるように、いろんな人がトレーニングしとかないとね。」
B「だね。BLで出て行った先でも、変わらずにできた方がいいもんね。」
A「うん。福祉面でも大事だしね。」
…さぁ、どうでしょうか。笑
(すんなり読めたとしたら、あなたはかなりの動物業界ツウです!)
実はこれ、二人の飼育員が「担当動物のお世話のしかた」について話しているところ!
「ハズバン」「BL」などの聞きなれない単語が出てくるだけでなく、「トレーニング」「福祉」など、知っているけど動物に使うイメージが少ない…という単語まで、よく分からない言葉や言い回しがちらほらありますよね。
と言うのも、実はこれらの言葉は、動物園でよく使う「専門用語」!飼育員たちが当たり前のように使っている言葉なんですね。
そこで今日のブログは、「動物園の専門用語を解説!」というテーマで、飼育員が当たり前のように使う言葉や言い回しの意味を紹介していきます。
これを読めば、飼育員同士の会話の意味が分かるかも…!?
専門用語①「ハズバン」
例文でAさんが「誰でもできるように~」と言っている謎の言葉、「ハズバン」。
これは、「ハズバンダリートレーニング」という専門用語を略した言葉です。
じゃあ「ハズバンダリートレーニング」ってなに…?という解説をする前に、動物園で使う「トレーニング」の意味を説明しておきましょう!
一般的には「体を鍛える」という意味で使われる「トレーニング」という言葉ですが、動物園では「動物に何かの動きを覚えてもらうこと」を指します。
(ワンちゃんに「おすわりを覚えさせる」のは「おすわりのトレーニング」という具合ですね!)
そんな「トレーニング」ですが、やり方やその目的などによって、いくつかのカテゴリーに分かれています。
そして、その中のひとつが「ハズバンダリートレーニング」。
日本語では「動物の健康管理のためのトレーニング」とも言われ、健康チェックや治療など、「動物の健康管理に役立つ動き」を覚えてもらうことを言います。
例えば、チンパンジーに「金網にお腹をピタッとくっつける動き」を覚えてもらいます。
(お腹の下側をピッタリ金網にくっつけさせるのがポイント!)
チンパンジーがこの動きを覚えると、
●顔やお腹にケガがないかをチェックしやすい
●ケガがあった時に消毒などの治療がしやすい
●お腹の中をエコー(超音波)で検査しやすい
というメリットがあります。
ちなみに、こちらがエコー検査の様子。
病気の早期発見だけでなく、妊娠時には赤ちゃんの成長具合の確認もできますね!
…とまあ、こんな風に「健康管理に役立つ動き」を覚えてもらうことが「ハズバンダリートレーニング」というわけです!
なので、Aさんの言葉を分かりやすくすると…
A「(決まった担当者だけじゃなくて)誰でも『健康管理のための動きをさせられる』ように、いろんな人が『動きを覚えてもらう練習』をしとかないとね。」
という感じ!やっと意味が分かりましたね!
さて、次回のブログも引き続き、AさんとBさんが話している専門用語について解説していきますよ~!
果たして、「BL」とは一体…?
それでは、次回をお楽しみに!
この記事を書いた人…元飼育員講師ふくちゃん
福岡ECOの卒業生。動物園とサファリパークで13年間、飼育員をしていました。好きな動物はフクロテナガザル。担当していた動物は、ゾウ、チンパンジー、キリン、トラなど。現在は福岡ECOで「陸上動物」「動物園・水族館研究」「アニマルヒストリー」の授業を担当しています。