みなさんこんにちは!元飼育員のふくちゃんです!
みなさんは、動物園やテレビなどで動物を見ている時に、こんな想像をしたことはありませんか?
「大好きなあの動物、このままお家に連れて帰りたい…。」
「家で飼えたら、いつも一緒に過ごせるのに…。」
「お部屋やお庭にこの動物がいたら、素敵だなぁ…。」
動物が好きな人なら、一度は想像したことがあるかもしれませんね!
(かく言う僕も、子どものころは「庭でお馬さんを飼いたい!」と思っていました!)
そこで今回は、「動物園の人気者はお家で飼えるのか?」というテーマでブログを書いてみます!第一弾は、不動の人気者「カピバラ」です!!
1.カピバラは飼っていい動物?法律上は?
動物は、いくつかの法律によって「飼っていい動物」と「飼ってはいけない動物」に分けられます。結論から言うと、カピバラは「飼っていい動物」です。
簡単に言うと、法律上飼ってはいけない動物は…
●危険な動物(特定動物)【法律名:「動物愛護管理法」】
⇒ゾウ、ライオン、キリンなど
●日本の生き物にとって害になる外国から来た動物(特定外来生物)【法律名:「外来生物法」】
⇒ブラックバス、ウシガエルなど
●絶滅の恐れがあるほど希少な動物(天然記念物)【法律名:「文化財保護法」】
⇒オオサンショウウオなど
●日本に暮らす野生の哺乳類と鳥類のほとんど(日本の「鳥獣」)【法律名:「鳥獣保護管理法」】
⇒スズメ、キツネ、タヌキなど
●その他違法な取引によって買ったり売ったり譲ったりされた動物
です。
基本的には、「人や野生生物に害になるかもしれない動物」と、「保護した方がいい動物」は飼ってはいけないことになっているんですね。
カピバラは今のところ、このどちらにもあたらないので、飼育は違法ではありません!
ただし、もしもペットとして飼育されているカピバラが逃げ出し、日本の川や池に定着(繁殖してそこで暮らし続けること)したら…将来的には「特定外来生物」に指定されるかもしれません。
実際、カピバラと同じく水辺に棲むネズミの仲間「ヌートリア」は、逃げ出した個体が日本の川に定着したことで、「特定外来生物」に指定されています。
(※動物の保護や保全についての法律はけっこう複雑で、「売るのはダメだけど飼うのは違法じゃない」「捕まえちゃダメだけど飼うのは違法じゃない」というルールになっている動物もいます。また、「きちんと届けを出せば飼っていいよ」という動物もいますので、詳しくはご自身で調べてみてくださいね!)
少し難しい話でしたが、結論としては、法律上は「カピバラは飼っていい」ということです!
2.カピバラはどんな暮らしをしているの?
カピバラをお家で飼うのなら、まずはどんな暮らしをする動物なのかを知っておきましょう!
そもそもカピバラは、水場の近くに棲んでいる動物です。生息地はアマゾン川のまわりなど、南アメリカの広い地域。気温が高い昼間には川や池の水につかってからだを休め、夕方から夜にかけて、食べたり休んだりをくりかえします。
動物園ののんびりした姿からすると意外かもしれませんが、実はカピバラは泳ぎが得意!水中をスイスイ泳ぐこともできて、長いと5分間も水中に潜れるんだとか…!
ちなみに、カピバラの足には水かきがついているんですよ!
ということで、お家で飼うなら、カピバラがしっかり歩き回れる広さの運動場に、泳げるくらい大きなプールを用意してあげたいですね!
ざっと考えると、最低でもカピバラ1頭につき、運動場は25~50㎡、プールは5㎡で深さ70㎝~100㎝くらい…は欲しいところ。
そしてカピバラは、少なくても10頭くらいの群れで暮らす動物です。群れで暮らす動物は、1頭になると不安になったり、寂しがったりするものなので、できるだけ群れで飼ってあげたいところですね。
少ない数で飼うのであれば、出来るだけカピバラと過ごす時間を長くしたり、プールや運動場に工夫をしたりして、カピバラが退屈しないようにした方がいいでしょう。
3.カピバラは何を食べる?エサはどうする?
次に、食べ物について!
カピバラは草食動物で、主にイネ科(お米や麦の仲間)の草を食べています。
動物園ではキャベツやニンジンなどの野菜や、リンゴなどの果物を与えることもありますが、あくまでも主食は草。「チモシー」と呼ばれるイネ科牧草の干し草をメインに、刈ったばかりの新鮮なイネ科の草を混ぜて与えることが多いです。
この「チモシー」、ウサギやモルモットもよく食べるので、ホームセンターやペットショップでも飼うことができます!(1袋500グラム入りを買えば、モルモット1頭だと半月くらいはもちます)
ただ、カピバラは1日に3~5キロくらいのエサを食べるので、手に入りやすい量だと全然足りません…。
そこで、動物園や牧場でも使っている、20キロ~30キロくらいのブロックになった業務用チモシーがオススメ!個人で購入する方法もあるので、気になる方は調べてみてくださいね!
また、草だけでは栄養が偏ってしまうので、草食動物用の固形飼料「ペレット」で細かな栄養素を補ってあげましょう。カピバラは体内でビタミンCを生成することができないので、同じくビタミンCを生成できないモルモット用のペレットが適しています。
(ちなみに、カピバラとモルモットは同じ「ネズミ目テンジクネズミ科」に属する、近縁な動物です!)
そして、元々が肉食動物であるイヌやネコとは違い、草食動物であるカピバラは「起きている時間はずっとエサを食べる」動物です。エサの時間を決める…というよりは、食べるものがなくならないように注意しつつ、いつでも新鮮なエサが食べられるように、古いエサと新しいエサを1日に3~4回交換する…というのが基本です。
また、カピバラはネズミの仲間なので、前歯が一生伸び続けます。前歯が伸びすぎると、うまくエサを食べられなくなってしまうので、毒性がない木の枝や石など、前歯を削ることができるものをいくつか置いておきましょう。
それと、草食動物はウンチの量がとっても多いです。しかも、カピバラはプールの中でウンチをすることも多いので、場合によっては毎日プールを掃除する必要があるかもしれません。
この他にも、カピバラを飼うのであれば知っておくべきことはたくさんあるので、「飼ってみたい!」という方は、ご自身でしっかりと調べてみてくださいね!
また、実際にカピバラを飼育している飼育員にあれこれ聞いてみるのもオススメです!
さて、長くなりましたが、今回のまとめです!
「カピバラは飼えるのか?」という疑問についての僕なりの結論は、
飼えるけど、きちんと飼うのはかなり大変だよ!
と言ったところ。
法律上は飼ってもいい動物ですが、飼うには広い運動場とプールが必要で、毎日たくさん食べるから大量のエサが必要。ウンチは大量だから掃除は大変!
365日、カピバラを中心とした生活をしないと、なかなか難しいかもしれませんね
…お家でペットを飼うと、毎日の癒しになったり、新しい発見があったり、お世話の大変さが分かったり、命の大切さを知ることができたり…と、いろいろな経験ができます!
ただ、それはペットの暮らしが幸せであってこそ。
ペットを飼う前には、「本当に幸せに飼ってあげられるかな?」ということを、じっくりと考えてあげたいですね!
それでは、今日はこのあたりで!
この記事を書いた人…元飼育員講師ふくちゃん
福岡ECOの卒業生。動物園とサファリパークで13年間、飼育員をしていました。好きな動物はフクロテナガザル。担当していた動物は、ゾウ、チンパンジー、キリン、トラなど。現在は福岡ECOで「陸上動物」「動物園・水族館研究」「アニマルヒストリー」の授業を担当しています。