みなさんこんにちは!元飼育員の講師ふくちゃんです!
動物病院で獣医師のサポートをする「動物看護師」というお仕事が国家資格になったのは、令和4年5月1日のこと。
職業としての名称も「愛玩動物看護師」に変わり、より専門的な獣医療の知識や技術が求められるようになりました!
(愛玩動物看護師のお仕事内容については、前にブログでくわしく紹介しています!気になる方はそちらをご覧くださいね!)
…ここで、ひとつの疑問が浮かびます。それは…
「愛玩動物看護師の名前にある『愛玩動物』って何よ?」
というところ。
「愛玩動物って、ペットのことでしょ?」
と思っている方、実はそれ、半分正解で半分不正解なんです…!
というのも、「愛玩動物」という言葉がさす動物は、一言では説明できないくらい、ちょこっとややこしいんです…。
というのも、「愛玩動物ってどんな動物のこと?」という問いには、二通りの答えがあります。
①一般的な意味の「愛玩動物」
これは「ペット」と同じ意味合いで使われています。辞書には
「――そばに置いてかわいがったり、姿やしぐさ、声などを楽しんだりすることを目的に飼育される動物。ペット。」
というように書かれています。
つまり、人がかわいがるために飼っていれば、犬も猫も牛もトラもトカゲもカブトムシも「愛玩動物(ペット)」だと言えるわけですね!
②法律で定められた「愛玩動物」
こちらは、「かわいがるなら何でも愛玩動物だよ!」という一般的な使い方とは、意味合いがちがっています…!
ここでポイントになるのは、「獣医師法」と「愛玩動物看護師法」という二つの法律です。
昭和24年にできた「獣医師法」では、「愛玩動物とは、犬、猫、その他政令で定める動物」と規定されています。
また、令和元年6月に成立した「愛玩動物看護師法」では、「『政令で定める動物』は愛玩鳥(オウム科全種、カエデチョウ科全種、アトリ科全種)」と規定されました。
ちょっとややこしいので、整理してみましょう!
【法律上の「愛玩動物」】
- 犬
- 猫
- オウム科の鳥(オウムやインコ)
- カエデチョウ科の鳥(ブンチョウやジュウシマツなど)
- アトリ科の鳥(カナリヤなど)
…と、実は法律では、「愛玩動物は犬と猫と一部の鳥」というかなり狭い意味合いで使われています。
可愛がるために飼っていても、どれだけ愛情を注いでいても、大切な家族の一員だったとしても、牛やトラやトカゲやカブトムシ(とその他たくさんの動物種)は「愛玩動物」ではない…ということ。
(僕が子どものころ家で飼っていた金魚もカメもハムスターも、法律上は愛玩動物ではないという…なんとも不思議な感じです…)
ただ、だからと言って「獣医師や愛玩動物看護師は犬と猫と一部の鳥以外は相手にしない!」ということはありませんので、心配しないでOK!
(「愛玩動物とは…」を定めている「獣医師法」ができたのは、昭和24年のこと。この頃の日本では、犬と猫と愛玩鳥以外の動物をペットとして飼う習慣が少なかったので、対象となる動物が少ないままになっているようです)
獣医師と愛玩動物看護師は、幅広い種類の動物たちについての知識をもっています。安心して大切なペットを任せられますね!
(※ペットとしての飼育例が少ない動物などは、診察や治療に特別な知識や機材が必要になることから、診療していない動物病院もあります。ちょっと変わったペットを飼っている場合は、受診前に電話で「○○の診療は可能ですか?」と問い合わせをお忘れなく!)
それでは、今日はこのあたりで!
この記事を書いた人…元飼育員講師ふくちゃん
福岡ECOの卒業生。動物園とサファリパークで13年間、飼育員をしていました。好きな動物はフクロテナガザル。担当していた動物は、ゾウ、チンパンジー、キリン、トラなど。現在は福岡ECOで動物や動物園についての授業を担当しています。