みなさんこんにちは!元飼育員の講師ふくちゃんです!
突然ですがみなさんは、「猫」と「ネコ」のちがいが分かりますか?
ただ漢字で書いているかカタカナで書いているか…というわけではありません。僕がこのブログに記事を書く時も、「牛」と「ウシ」、「猿」と「サル」など、動物の呼び方はとあるルールに合わせて書き分けているんです…!
こんな風に、動物園や水族館にペットショップ、動物病院などの動物業界には、たくさんの「言葉のルール」や「動物業界では当たり前の専門用語」があります。
そこで今回から「気になる動物用語解説シリーズ」と題して、動物業界でよく使われている言葉の意味を紹介していきます!
意味合いやちがいを少し知るだけで、動物業界についてググっとくわしくなれますので、気になる言葉があったらチェックしてみてくださいね!
というわけで、記念すべき第一回は「『猫』と『ネコ』」のちがい」を解説していきます!
■漢字とカタカナのちがいは何?
動物の名前を漢字とカタカナで書き分ける基準は、ズバリ「学術的であるかどうか」です。
学術的でない、つまり一般的な文章であれば漢字を使います。
「路地裏の陽だまりで、数匹の野良猫が気持ちよさそうに寝ころんでいた」
というように、新聞記事であったり、作文であったり、物語のような文章ですね。
これに対して、学術的な文章にはカタカナを使います。
「ネコが家畜化されたのは5000年前のエジプトだと考えられる」
というように、なんとなく「学問っぽい」とか「勉強っぽい」感じで書かれた文章ですね。
ちなみに、この二つはひとつの文章に同時に書かれることがあります。
「私たちの身近な動物である猫は、動物の分類上は『イエネコ』という動物種です。ちなみに、イエネコが含まれるネコ目(もく)というグループには、イヌやタヌキ、イタチなどが含まれます」
といった感じ。…なんだかややこしく感じますかね…?笑
細かいところ置いておきますが、動物園の解説看板や獣医師が書く専門的なコラム、動物学者の研究論文などは「学術的」なので、「ネコ」とカタカナで表記される…というわけです!
こんなルールがある理由はいくつか考えられますが、一番は「その呼び名が何を指しているのかを分かりやすくするため」でしょう。
例えば、漢字だけで書くと
「民家の周りに住み着いている野良猫も、分類上は家猫と呼ばれていて、大昔にリビア山猫という種類を家畜化したものです。家の周りに住んでいなくても家猫です。」
と、こんな感じ。これに、カタカナ表記を混ぜてみましょう。
「民家の周りに住み着いている野良猫も、分類上はイエネコと呼ばれていて、大昔にリビアヤマネコという種類を家畜化したものです。ちなみに、家の周りに住んでいなくてもイエネコです。」
こう書くと、「野良猫」は一般的な呼び方で、「イエネコ」と「リビアヤマネコ」は動物種名を指していることが分かります。分かります…よね?
■まとめ
「『身近な猫』『野良猫』のように一般的な意味合いで使う時は漢字」
「特定の動物種名(イエネコ)や分類(ネコ目)を指すなど、学術的な意味合いで使う時はカタカナ」
それでは、今日はこのあたりで!
この記事を書いた人…元飼育員講師ふくちゃん
福岡ECOの卒業生。動物園とサファリパークで13年間、飼育員をしていました。好きな動物はフクロテナガザル。担当していた動物は、ゾウ、チンパンジー、キリン、トラなど。現在は福岡ECOで動物や動物園についての授業を担当しています。