ECO日記

プロに聞いてみた!①水族館飼育スタッフ編part2

みなさんこんにちは!元飼育員の講師ふくちゃんです!

 

動物業界で活躍する方々にいろいろなことを聞いちゃう、「プロに聞いてみた!」シリーズ。

 

前回に引き続き、鳥羽水族館で活躍されていた田中先生へのインタビューをお届けします!

 

今回は「水族館のお仕事」について、くわしく聞いていきますよ~!

 

・・・

 

―田中先生は、専門学校から水族館に就職されていますよね。動物園側の人間からのイメージだと、「水族館は大学卒を優先して採用する」というイメージがあるんですが、そのあたりはいかがですか?

 

田中先生「確かに、以前は専門学校卒よりも大学卒の方が優先されるというか、評価されやすいような感じでしたね。でも、最近は『学歴』よりも『個人』として評価する傾向が強くなってきたので、水族館業界には専門学校卒の人が増えました。これは動物業界に限りませんが、どこも人材不足だと思うので、『学歴にこだわらず、少しでもいい人を採用したい』ということなんだと思います」

 

―なるほど。それでは、次は水族館でのお仕事について聞かせてください。水族館飼育スタッフとして働くうえで、大切な考え方は何ですか?

 

田中先生「一番は、『動物だけの相手をしておけばいい』と考えないことですかね。動物のお世話はもちろん大切な仕事ですが、水族館では何人ものチームで働くので、人間関係を円滑にするコミュニケーション能力が絶対に必要です。さらに言うと、魚や動物に詳しいだけではなく、『知識を言語化』できるといいですね。ただ詳しいだけじゃなくて、分かりやすく説明できる能力…というか、知識を実際に使えることが大切です」

―『動物だけじゃない…』という部分は、動物園でも同じですね。スタッフ同士がしっかりコミュニケーションを取った方が、細かい部分まで意識を共有できるから飼育のレベルも上がる…というか。結局はそれが動物のためになるんですよね。

 

田中先生「そうなんです。あとは、『自分が動物を生かしている』と思いすぎないのが大事ですね」

 

―詳しくお聞きしてもいいですか?

 

田中先生「動物の飼育をしていると、ついつい、『目の前の動物は自分が生かしている、自分はこの動物を管理できている』という感覚になってしまいがちだと思うんです。でも、あくまでも相手は動物。『自分は大丈夫』なんて油断していると、ケガや大きな事故に直結しかねませんよね」

 

―確かにそうですね。

 

田中先生「だから、常に動物との距離感を保たないといけないと思うんです。例えば、ワニのメスって普段は大人しいんですが、繁殖期になるとかなり凶暴になるんですよ。でも、一見するとその変化は分かりにくい。だから『いつも大丈夫だから』という意識でいつも通りに近付くと、こちらに襲い掛かってくる恐れもあるわけです。それも、『相手は動物だから、何があるか分からない』と意識しておけば、部屋の隅に転がっている卵に気づけるんです」

 

―なるほど…動物に慣れすぎて事故を起こさないように、というところですね。その意識はとても大切ですね。

 

 

・・・

 

と、今回はここまで!

 

「動物との適切な距離感を意識しておかないと事故につながる」というお話は、実際に飼育現場で動物と向き合ってきた経験があるからこそ。直接お話を聞いていて、説得力があると感じました。

 

さて、田中先生へのインタビューは次回で完結です!

 

「田中先生の授業ではどんなことをするの?」

「学生のうちに学んでおいた方がいいことは?」

 

というあたりを詳しく聞いていますので、お楽しみに!

 

それでは!

 

 

 

この記事を書いた人…元飼育員講師ふくちゃん

福岡ECOの卒業生。動物園とサファリパークで13年間、飼育員をしていました。好きな動物はフクロテナガザル。担当していた動物は、ゾウ、チンパンジー、キリン、トラなど。現在は福岡ECOで動物や動物園についての授業のほか、文章表現についてのゼミを担当しています。