みなさんこんにちは!元飼育員のふくちゃんです!
前回から引き続き、「飼育員がどんな仕事をしているか」について紹介していきます。
今回は「サファリパーク編」ですよ!
そもそも、「サファリパーク」というのは動物園の一種ですが、いわゆる「動物園っぽい動物園」とは少し違う部分があります。
それは、動物を見る方法。かんたんにいうと、
檻や柵に囲まれた運動場にいる動物たちを、人間が歩きながら見る…のがいわゆる「動物園っぽい動物園」。
広い運動場の中にいる動物たちを、人間がバスや車に乗って、運動場の中に入って見る…のが「サファリパーク」
です!
施設のつくりが違うだけでなく、実は、飼育員の仕事にも違いがあるんですよ~
それでは、僕がサファリパークで飼育員をしていた時の、ある1日の仕事内容を見ていきましょう!ぜひ、前回の「動物園編」と見くらべてみてくださいね!
ちなみに、この時の僕の担当動物は、草食動物エリアのサイです。
・・・
- 8:00 出勤、着替え、監視車の点検
出勤して制服に着替えたら、最初にするのは監視車(サファリジープ)の点検です。
(※正確には「ジープ」という車種ではないのですが、「ジープ」と呼ばれることが多いので、ここでもそう呼びますね!)
サファリゾーンで働く飼育員は、多くの時間をジープの車内で過ごします。広い運動場の中を移動したり、動物の様子を安全に観察したりするには、欠かせない相棒です!
パンクはしていないか、燃料は少なくないか、エンジンに問題はないか…など、決められた項目を点検します。
- 8:30 朝礼
飼育員と獣医師が集まって、朝礼をします。
ちなみに、僕が働いていたサファリパークでは、「サファリゾーン」の飼育員と「ふれあい動物園ゾーン」の飼育員は部署がちがうので、朝礼も仕事も別々でした。
- 8:40 サファリゾーンに入る、設備の安全確認、動物の観察
ジープに乗り込み、一斉にサファリゾーンに入ります。十台以上のジープが列を作って走っていく姿は、何度見てもカッコいい!
サファリゾーンを進みながら、道路や柵などに異常がないかをチェックします。ここで動物の担当ごとに別れて、それぞれの担当動物たちの様子を観察していきます。
僕の場合は、
草食動物エリアの道路や柵に異常がないかチェック…
シカやバイソンたちが元気かどうかチェック…。
(あ!赤ちゃんが産まれてる!なんて素敵な発見も…!)
そして寝室の中にいるサイの様子をチェック…。
という流れでした。
異常があれば、すぐにジープに装備されている無線で報告!
ちなみに、サファリゾーンにいる動物たちのうち、トラやライオン、クマなどの猛獣や、ゾウ、キリン、サイなどの大型動物は、夜の間は寝室の中で過ごします。
ですが、ヒツジの仲間やシカの仲間、アメリカバイソンなど、頭数が多い動物は、夜もサファリゾーンの中で過ごすんですよ!
- 9:00 動物の放飼
お客さんがサファリゾーンに入ってくるまでに、寝室の中にいる動物を外に出します。
草食動物エリアには、僕が担当していたサイの他に、ゾウとキリンも出ていきます。
寝室から出ていく順序は決まっているので、他の動物の担当者と合図を送り合いながら、安全に注意して作業!
基本的には、
寝室の扉を開ける → 草食動物エリアに繋がる通路の扉を開ける → 動物のあとをジープに乗ってついて行く…
という流れですが、サイが道草を食う(文字通り本当に道端の草を食べます。笑)時には、
「ほら、行くよ~!」
という風に声をかけて、誘導します。
優しくするだけでは言うことを聞いてくれないし、ただ怖がらせるだけではダメなので、コツが必要。
ベテランの先輩が誘導すると、不思議なくらいスムーズに動物が移動していきます…。
- 9:15 動物の監視or寝室や草食動物エリアの掃除
動物が草食動物エリアに出たら、その後は手分けしたり交代したりしながら、動物を監視します。
お客さんの見やすい位置で過ごしているかどうか…。
お客さんの車に悪さをしないかどうか…。
(動物に悪気はなくても、稀にお客さんの車に近付きすぎてしまうことも…)
など、お客さんと動物が安全に過ごせるように、ジープの中から目を光らせます。
途中、監視役を交代して、寝室の掃除やエサの準備に向います。サイだけでなく、百頭近くいるシカや十数頭いるバイソンのエサも準備するので、たくさんの牧草をトラックに積み込んだり、決まったエサ場に配ったりしていきます。
- 12:00 昼休憩
順番に動物の監視役を交代しながら、体を休めます!
- 13:00 動物の監視、動物の収容準備
午前中に引き続き、交代しながら動物を監視します。
監視の合間には、広い草食動物エリアの掃除や、動物を寝室に戻す(収容する)準備をします。
- 17:00 動物の収容
最後のお客さんの車が次のエリアに移動したのを確認して、動物を寝室に帰します。まずはキリンたちが寝室に戻り、その後をゾウで、最後にサイ。
ジープの動きや飼育員の声で合図を送ると、自分たちで歩いて寝室に向かって行きます。
全ての動物が寝室の中に入ると、ひと安心!
時には、「ライオンが一頭帰らないから、手伝って!」という無線が入り、手伝いに向かうこともありました。
- 17:30 帰宅
全ての作業が終わると、その日1日のことを日誌に記入して、帰宅します。
必要があれば、残業で作業をすることもあります。
・・・
と、サファリパークで働く飼育員の1日は、こんな流れです!
さて、前回から2回に分けて、「飼育員はどんな仕事をしているか」をご紹介してきましたが、いかがでしたか?
何か新しい発見があったり、何かの参考になったりしていれば、とても嬉しいです!
それでは!
この記事を書いた人…元飼育員講師ふくちゃん
福岡ECOの卒業生。動物園とサファリパークで13年間、飼育員をしていました。好きな動物はフクロテナガザル。担当していた動物は、ゾウ、チンパンジー、キリン、トラなど。現在は福岡ECOで「陸上動物」「動物園・水族館研究」「アニマルヒストリー」の授業を担当しています。